ドイツ研究留学のすすめ

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ドイツは素晴らしい研究環境を提供してくれる魅力的な国です。このページは、特に博士課程の学生、ポスドク、上級科学者としてドイツで研究してみたいと考えている方に役立つ情報を提供するためのポータルページです。詳しい内容については、リンク先の別サイトを訪れ、確認してください。きっともっとドイツに興味を持ってもらえることと思います。

#01:ドイツで博士号を取得する方法

ドイツは博士号取得に最適な環境
ドイツの大学や研究機関は世界最高のレベルを誇り、研究開発のアウトプットも世界有数です。論文数では日本を上回っています(2021年時点)。ドイツで博士号を取得する人の数は年間約28,000人(2021年時点)で日本の約1.8倍、人口当たりでは日本の約2.7倍になり、英国と並んで世界一の水準です。博士号取得者のうち毎年6,000人前後は外国人です。博士号の取得を支援する仕組みが充実していることや、ドイツの大学では多くの場合英語で博士論文を書くことができ(一部分野を除く)、この実績を可能にしています。またドイツでは、手頃な生活費で過ごせるという魅力もあります。さらに文化的・研究的資源の豊かさ(文学、哲学、美術、音楽などの領域におけるドイツ語文献の蓄積や、図書館、美術館、アーカイブへのアクセス可能性)、学問の自由が高度に保障されていることもドイツでの研究の魅力の一つです。

博士号取得の二つの方法
博士号取得には二つの方法があります。一つ目は、一人の指導教授のもとで、博士論文をまとめる方法(Individual doctorate)で、4分の3以上の学生が選ぶ伝統的な道です。学生個人の高度な自発性と責任が要求されますが、柔軟性が高く、ほとんど独立して自分の研究テーマに取り組むことができます。
もう一つは、体系化された博士課程プログラムを修める方法(Structured PhD programmes)です。これは指導教員のチームが博士課程の学生グループを指導する、英語圏の博士課程プログラムと同様の仕組みです。

研究留学のための支援が充実
博士課程の学生は、多くの場合パートタイムで大学の研究員として働きながら、自身の研究を進めます。ドイツの国立大学では博士号取得のための授業料は基本的に無料(一部の州・大学では例外あり)で、ドイツ学術交流会(DAAD)なども博士課程の学生向けに奨学金プログラム(研究奨学金)を提供しています。
大学以外の研究機関で研究したり、企業で働いたりしながら、という方法でも博士号を取得することができます。
マックス・プランク協会など大学以外の研究機関では、博士課程の学生に奨学金や雇用契約、あるいはその組み合わせを提供して研究を支えています。
産業界で働きながらパートタイムで博士号取得の勉強をするやり方もあります。

詳細(英語)
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/phd.htm

ドイツ研究留学体験談~博士課程編その1~
(写真:渡邉さん提供)
(写真:渡邉さん提供)

社会人からドイツで博士課程へ
渡邉 洸(わたなべ こう)さん

カイザースラウテルン・ランダウ大学博士課程在学中・ドイツ人工知能研究センター(DFKI)研究員
CS(Computer Science)で、特に教育(EdTech)に関する研究をしている。

インタビュー記事はこちら

ドイツ研究留学体験談~博士課程編その2~
(写真:西さん提供)
(写真:西さん提供)

ドイツでの学位取得が、今の研究人生に与えた影響
西 美奈(にし みな)さん

電力中央研究所 上席研究員
2004年、エアランゲン大学(フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク、ドイツ)化学工学科修士課程修了。
その後2009年、同流体力学研究室にて博士号取得。

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#02:ポスドクとして働く方法

ドイツはポスドクに理想的な環境
ドイツでは、大学や公的研究機関、研究志向の強い企業間の緊密な連携のもと、世界中の研究者と協力して様々な種類の研究プロジェクトに取り組むことができます。ポスドクとして初期の研究キャリアを築くには理想的な研究環境です
ドイツの研究開発費総額は15.7兆円(2021年)で、米国(82.5兆円)、中国(48.5兆円)、日本(18.7兆円)に次ぐ研究大国です。2000年を1とした場合の伸びは、日本1.2、ドイツ2.2で、勢いに差が見られます。

働き先、三つの選択
ポスドクとして働く場合、大学、大学以外の研究機関や連邦研究機関、企業と、大きく三つの選択肢があります。
大学のレベルが高いだけでなく、数多い研究機関も世界最高レベルです。例えばマックス・プランク協会は、自然科学分野で31人のノーベル賞受賞者(2023年時点)を誇る研究機関で、3700人のポスドクが在籍しています(2022年時点)。
具体的な問題解決を目指したいのならば、企業でのポスドクという選択もあります。ドイツの産業界、特に自動車、電気、化学、製薬、バイオ医薬品産業などの研究集約型セクターでは多くのポスドクが求められています。
生活面でも、世界で最も安全で自由な国の一つです。他の欧州連合諸国に簡単に旅行したり研究で訪れたりすることもできます。また、住民を構成する移民、又は移民の家族出身に割合も相当数認められ、豊かな国際性が関られることも魅力です。という豊かな国際性も魅力です。

カップルのキャリア探しも支援
博士号のような高度な学位を持ったカップルが、一緒に新しいキャリアを探すための支援もドイツでは充実しています。全国のおよそ50の大学がデュアル・キャリア・ネットワーク・ドイツ(DCDN)に参加し、研究者カップルを対象としたサポートを提供しています。
また例えばバイエルン州北部では、17の学術機関が連携して、新しく赴任した研究者のパートナーが適切なキャリアや地域でのつながりを探すのをサポートします。当局との対応だけでなく、住居や保育施設探しも手助けしてくれます。

詳細(英語)
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/postdoc.html

ドイツ研究留学体験談~ポスドク編~
(写真:大西さん提供)
(写真:大西さん提供)

研究資金が豊富なドイツで挑戦の日々
大西 真駿(おおにし ましゅん)さん

マックス・プランク老化生物学研究所 研究員
2020年3月、大阪大学大学院生命機能研究科にて博士号(理学)取得。専門は細胞生物学、ミトコンドリア、細胞死。

インタビュー記事はこちら

#03:ドイツの主な研究機関

約420の大学
ドイツでは、大学、大学以外の研究機関、研究に力を入れている企業が相互に協力して、国際水準の成果を発信しています。
大学は約420あり、約43万人の学術スタッフが所属し、うち5万9千人は海外からの研究者です。毎年、約200億ユーロが大学での研究開発に投資されています。

大学以外の有力な研究機関も
大学とは別に、科学技術研究を担う大規模な公的研究機関としては、基礎研究に強いマックス・プランク協会、大型研究施設を持つヘルムホルツ協会、応用研究のフラウンホーファー研究機構、大学からの知識移転を担うライプニッツ協会の4つがあります。
マックス・プランク協会は、自然科学や人文科学の基礎研究を手掛け、85の研究所や施設を有しています(2023年時点)。スタッフは約24,000人、うち研究者6,700人、客員研究員は2,500人などです(2021年時点)研究者の半数以上はドイツ以外の出身です。2021年の年間予算は23億ユーロでした。
ヘルムホルツ協会は、粒子加速器、研究船、スーパーコンピューター、地球観測衛星など独自の研究インフラを開発・運営しています。18か所の施設で構成されており、年間予算は約54億ユーロ(2021年時点)で、16,000人の研究スタッフ、6,200人の博士課程学生がいます。
フラウンホーファー研究機構は、バイオエコノミー、AI、量子技術、水素技術などの分野で、独創的なアイデアをイノベーションにつなげる応用研究をしています。3万人を超えるスタッフのうち、大半は資格を持つ科学者や技術者です。

企業も研究開発に多大な投資
企業の研究開発も盛んです。ドイツ企業だけでも2021年に自社の研究に約760億ユーロ、他の企業や大学などとの研究契約に約270億ユーロが費やされています。
ドイツのスタートアップ企業として、近年、革命的な成功を収めて有名になったのはビオンテック社でしょう。大学から独立してわずか数年後に、mRNAの専門知識を活かして新型コロナウイルスのワクチン開発に成功し、死者を大幅に減らす功績をあげています。

詳細(英語)
https://www.research-in-germany.org/en/research-landscape/research-institutions.html

#04:研究ポジションの見つけ方

博士号を得るポジション
博士号をとるための研究ポジション選びならば、大学や研究機関を選ぶ前に、一人の指導教授のもとで博士論文をまとめる伝統的なやり方を選ぶか、体系化された博士課程プログラムで教員チームから指導を受けるかを選択する必要があります。
前者ならば、指導教員になってくれる適切な教授を見つけることから始まります。自分の専門分野の学会に参加したり、現在の指導教授や所属する大学の縁から探したりするのも一つです。
GERiT、PhDGermany、Higher Education Compassといったオンライン検索を使えば、自分の博士論文テーマに適した指導教員や募集先を見つけることを支援してくれます。
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/phd/find-your-phd-position.html

ポスドクとしての働き先
ポスドクの雇用先としては、大学、大学以外の研究機関、研究型企業を中心とする産業界があります。
大学には、大学のResearch associate として雇用され、セミナーや実習などの業務もこなしながら研究をする形や、第三者の資金提供を受けて研究プロジェクトのポスドクとして働く形など様々な雇用形態があります。
また大学以外の研究機関は、研究に使える設備が非常に充実していることが大きな魅力です。研究グループの研究員のポストを得る、助成機関から助成金を得て独立した研究プロジェクトに取り組む、などの形があります。
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/postdoc/career-options-and-dual-careers.html

より上級の研究者のための選択肢
博士号を取得してから、すでにいくつかの研究プロジェクトに取り組んだ経験があり、さらに新たに国際的なつながりを得たいという研究者は、ドイツでの短期研究滞在、または大学、研究機関、企業での長期研究職に就くことがお勧めです。教授職に就く、客員教授として数か月働く、研究グループの主宰者として応募する、企業の研究員になるなど様々な選択肢があります。
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/advanced-research.html

特定の研究分野、資格のある専門家向け、大学や研究機関、研究開発会社ごとなど、いくつかのタイプの求人データベースを紹介しています。
https://www.research-in-germany.org/en/your-goal/research-position.html

#05:助成金情報

 ドイツ学術交流会(DAAD)はドイツで最も大規模な奨学金プログラムを提供しています。

学部生、大学院生、博士号取得者、大学教員を対象としたDAAD自身の助成プログラムに加え、DAAD以外の主な助成機関のプログラムに関する情報を、奨学金データベースから検索することができます。

また外国人博士課程学生向けの資金提供プログラムの主なものはこちらに掲載されています。

このうちの一つ、マックス・プランク研究所で研究活動に取り組む博士課程の学生に、マックス・プランク協会が提供するプロジェクトでは、公務員の労働協約に基づく給与が支払われ、個人のプロフィールや研究分野に応じて、より高い報酬も可能です。
フラウンホーファー研究機構の研究所では、最先端の機器を使ったエキサイティングなプロジェクトに取り組みながら、給与をもらいながら博士号を取得することができます。
ポスドクや若手研究者向けにも豊富な資金提供プログラムがあります。

助成元の一つ、ドイツ研究振興協会(DFG)はドイツの学界最大の基礎研究支援組織で、年間予算は20億ユーロです。助成プログラムの一つは、初期のポスドクを対象とするエミー・ネーター・プログラムで、独立したジュニア研究グループへの資金を提供しています。プロジェクトを完了するために必要なスタッフおよび消耗品の費用をカバーし、研究グループのリーダーの給与も含まれます。DFGは、このほかにもさまざまな助成プログラムを提供しています。

フンボルト研究フェローシップは、海外からの様々な分野の若手研究者らに、ドイツの研究機関での長期プロジェクトのための資金を提供するものです。アレクサンダー・フォン・フンボルト財団は国際研究助成を目的とした公益財団で、年間予算は約1億4900万ユーロ(2022年時点)です。

#06:日独研究コミュニティー

DWIH東京ニュースレター
DWIH東京のメーリングリストに登録すると、日本の学生や研究者向けに、日独の最新の研究動向やイノベーションに関するイベント、助成プログラム、共同研究、公募などに関する情報などが定期的に送られてきます。
https://www.dwih-tokyo.org/ja/newsletter-registration/
DWIH東京は、ニュースレターの他、X(@DWIH_Tokyo)LinkedInでも情報発信しています。チェックしてみてください。

DAAD友の会
奨学生の同窓会組織からも、ドイツでの研究生活に役立つ情報が得られます。
DAAD友の会は、ドイツ学術交流会(DAAD)の元日本人奨学生有志を中心にした組織で、DAADのアルムニのためのイベント、助成などの情報発信もしています。
http://daad-tomonokai.com/

DAADアルムニ
DAAD東京事務所も、DAADアルムニ向けの情報発信をしています。
https://www.daad.jp/ja/about-us/alumni/

日本フンボルト協会
日本フンボルト協会は、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団の奨学生としてドイツの研究機関で学術研究に従事した人たちによって組織される団体です。留学を希望している若手研究者・大学院生が、ドイツで受け入れ先となってくれる研究者や機関に関して知りたい情報があれば、それに詳しい奨学生の先輩を検索してくれる仕組みもあります。
https://avh-jp.com/

ハイデルベルク大学日本校友会
ハイデルベルク大学日本校友会は、同大に留学、研究、就業した人たちのネットワーク組織です。
https://www.alumni.uni-heidelberg.de/hajp/jp/index.html

日本ケルン・アルムニ・クラブ
日本ケルン・アルムニ・クラブは、ケルンの高等教育研究機関のかつての在籍者のための親睦組織です。
https://www.koeln.jp/

日本学術振興会ボン研究連絡センター
主にドイツで研究する日本人研究者のためのネットワークもあります。日本学術振興会ボン研究連絡センターでは、若手研究者を対象にした在独PI(研究室主宰者)によるキャリア形成のための講演会や、在独研究者同士の交流会などのイベントを開いています。公募情報なども紹介しています。
https://www.jsps-bonn.de/ja/home/jsps-bonn-office

ドイツ研究者ネットワーク
ドイツ研究者ネットワークは、在ドイツの研究者らが作る組織で、様々な交流会などを開いています。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100077008624141

さらに、DWIH東京サポーターの中には、ドイツ研究振興協会(DFG)ドイツ日本研究所(DIJ) など、日独研究コミュニティーにおいて重要な役割を果たす機関が名を連ねています。

関連イベント情報

German Research Fair ―ドイツ研究フェア(オンライン、2024年4月11日(木)・12日(金))

ドイツの大学や研究機関で研究したい、ドイツの大学の博士課程、ポスドク、奨学金について知りたい方必見!オンラインで開催の「German Research Fair―ドイツ研究フェア」に参加して、大学や研究機関、助成機関の担当者と直接話してみませんか?

詳細:https://www.dwih-tokyo.org/ja/event/grf2024/

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更新日: 2024年5月20日