日独シンポジウム「グローバル化時代の大学の役割―人材育成と人格形成の間で」

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日独の大学は、将来どのような役割を果たすべきでしょうか。ドイツ 科学・イノベーション フォーラム 東京(DWIH東京)、ドイツ大学学長会議、東京大学は、2014年10月8日に東京大学で「グローバル化時代の大学の役割―人材育成と人格形成の間で」と題した日独シンポジウムを開催しました。学術界からは日独の10大学と文部科学省、産業界からは日本経済団体連合会とボッシュ株式会社、あわせて14名の専門家を講演者に招き、21世紀の大学の使命や高等教育の理想像について活発な議論が行われました。終日開催されたシンポジウムには学術界、産業界から約250名の参加がありました。

本シンポジウムの目的は、日独の大学の共通点や展望について明らかにし、協力関係をさらに強化するための道を探ることで、第1部「『学問を通じた教養』:21世紀における大学の主要任務とは」、第2部「大学の国際化―これまでの成果と今後の挑戦」、第3部「人材育成対人格育成―大卒者に求められる知識と能力とは」、そしてパネルディスカッション「大学・政界・経済界への提言」の4部で構成されました。

講演のなかで大学の国際化のあり方、またグローバル化時代の大卒者に求められる知識と能力について、集中的に議論が交わされました。国際化の側面においては、各大学において実践されている英語で学位を取得できるプログラムの取り組みと今後の課題について活発な意見交換がありました。

また、現在大学が置かれている社会的、政治的状況における「学問を通じた教養」という教育理念の重要性についても語られました。政府からの予算が毎年削減されている厳しい現状について日独の専門家らは、大学の教育と研究のパフォーマンスが量的指標によってのみ評価されること、またそれが予算配分に極めて重要な位置を占めていることに対しての懸念を表明しました。

ドイツ大学学長会議副会長でハンブルク大学学長のディーター・レンツェン氏は、「日独の大学が、互いにグローバル化の影響に見合った方法で立ち向かっていかなければならないことが今日の議論で示されました。これを成功させるためには、大学の役割や使命について共通の指針を策定し、実施することが唯一の手段となるでしょう」と述べました。同テーマについて次回はドイツで会議を開催することで合意し、シンポジウムは盛会のうちに終了しました。