「ゴットフリード・ワグネル賞2012」最優秀賞に「OpenPET」を開発した放医研の山谷氏
2012年6月19日、東京のドイツ連邦共和国大使公邸にて第4回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞 2012」授賞式が開催され、5名の受賞者とそのチームメンバーが発表されました。本賞は、日独間の産学連携を目的として、ドイツ 科学・イノベーション フォーラム 東京(DWIH東京)と在日ドイツ商工会議所、そしてイノベーションを重視するドイツ企業10社が共催しています。応募対象は、環境・エネルギー、健康・医療、安心・安全の分野における応用志向型の研究で、今回は34の日本の大学・研究機関から83件の応募が集まりました。
最優秀賞は、独立行政法人 放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 生体イメージング技術開発研究チーム チームリーダーの山谷 泰賀氏(38)らによる「がん診断と放射線治療を融合するOpenPET」に贈られました。山谷博士は、世界初の開放型陽電子断層撮像法PET装置「OpenPET」を発明し、それにより診断と放射線治療を融合したシステムを考案しました。この革新的なアイデアは、安心で安全ながん治療への画期的な一歩であり、医療産業にも大きな影響を与えると考えられています。山谷博士らの研究チームには、400万円の賞金が贈られました。
優秀賞は、「グリーン化学アプローチによる革新的芳香環連結マテリアルの創製」が研究テーマの名古屋大学大学院理学研究科 物質理学専攻化学系 教授の伊丹 健一郎氏(41)に、奨励賞は、東北大学 大学院工学研究科 ナノメカニクス専攻准教授の田中 秀治氏(40)、大阪大学 大学院薬学研究科 分子生物学分野 教授の水口 裕之氏(43)、同じく大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授の森 勇介氏(46)の3名に授与されました。
受賞者には賞金のほか、副賞としてドイツで研究するための渡航費および滞在費がドイツ学術交流会(DAAD)とドイツ研究振興協会(DFG)より授与されました。
授賞式は、駐日ドイツ連邦共和国大使のフォルカー・シュタンツェル氏の開会の挨拶から始まり、共催ドイツ企業10社を代表して駐日ドイツ商工特別代表のマンフレッド・ホフマン氏からの挨拶もありました。
また、来賓の内閣府 大臣政務官 園田 康博氏からは、「受賞された若手研究者の自由な発想こそがイノベーションの最大の源泉であり、今後日独の科学技術協力の中核となって牽引していくことを期待している」との祝辞がありました。
また、小惑星探査機「はやぶさ」の開発の中心として活躍された独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) シニアフェローの川口 淳一郎教授より『「はやぶさ」が挑んだ人類初の往復の宇宙旅行、その7年間の歩み』と題した記念講演がありました。
その後、本賞の選考委員会委員長の相澤 益男氏(内閣府総合科学技術会議 議員)より、選考過程の報告と受賞研究テーマについての紹介がありました。相澤氏は、「世界はイノベーションを生み出す多様なシーズ、創造性に富んだ多様な人材を求めており、本賞を通して、日本とドイツの研究交流が促進され、受賞者には人的ネットワークを強め、またグローバルに活躍することを期待している」と述べました。
賞の贈呈では、相澤選考委員長とホフマン駐日ドイツ商工特別代表より賞金とトロフィーが、DAAD東京事務所代表のホルガ-・フィンケン氏とDFG日本代表部 代表のイリス・ヴィーツォレック氏からは副賞が手渡されました。
授賞式後のレセプションでは、本賞のご後援をいただいている独立行政法人科学技術振興機構 統括担当理事の川上 伸昭氏より乾杯のご発声をいただきました。終始和やかな雰囲気のなか、受賞者を中心に出席者同士の歓談や記念撮影などが行われました。